マジック・オリジンからのポリシーの変更
2015年7月16日 ルーリングToby Elliot氏のblogでアナウンスされた、IPGとMTRの変更についての記事の和訳です。
原文はこちら
http://blogs.magicjudges.org/telliott/2015/07/13/magic-origins-policy-changes/
(訳者注:JJMLで変更点の要約を読んだジャッジ諸氏も、後述の"雑多な説明"の箇条書きの箇所に目を通すことをおすすめします。)
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IPG
http://wpn.wizards.com/sites/wpn/files/attachements/mtg_ipg_17jul15_en.pdf
MTR
http://wpn.wizards.com/sites/wpn/files/attachements/mtg_mtr_17jul15_en.pdf
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今回も沢山のIPGの変更がある。でも見た目ほど怖くはないよ。あれ程のべガス/ユトレヒト/千葉を乗り越えてきた僕らなら、朝飯前なんじゃないかな。
大きなポリシーの変更が一つと、違反の定義に焦点を当てたガイド全体の再構成と、いつもの微調整や明確化がある。慌てるな!
〔過剰なカードを引いた〕の再考
これが大きい奴だ。慣習的に、〔過剰なカードを引いた〕は泣き所だった。秘匿情報にも関連するし、気付くのが難しく、回避するのが難しく、事後に修正するのも難しかった。なので、違反処置指針にある間ずっと〔過剰なカードを引いた〕は、たとえゲームでの誤りによる影響が比較的小さい場合でも【ゲームの敗北】であった。長年の間、最悪の状況を緩和すべく様々な定義を試みてきたが、それらの努力は、決して適用されないもの、難解なもの、厳しすぎる結果をもたらすもの、のいずれかに帰結していた。そこで、僕らは今までと違うことをやってみることにした。〔過剰なカードを引いた〕を警告にするのだ。手札を公開し、対戦相手に余剰なカードを選んでもらい、それをライブラリーに戻してシャッフルするんだ。
理念が変更されてるのをみた人もいるだろうけど、これは僕らにはこれまで”ゲーム上の修正”を避ける慣習があったからだ。今回の場合だけじゃない。僕らが避けたいのは、ペナルティがゲーム上に予想できないほどの影響を及ぼすことだ。例えば、”GRVのペナルティは2点のライフとする"というルールを追加することは可能だ。いくつかの状況では、これは意味がないだろう、一方で、【ゲームの敗北】と同じになることもある。こういった類いの不一致は避けたい。
でも、〔過剰なカードを引いた〕に関していうと、二つの要素がこれらの不安材料を和らげてくれる。一つ目は、これまで、慣例として【ゲームの敗北】になっていたということだ。新しい追加措置がプレイヤーに対してこれ以上厳しくなる心配はなく、現在の手法にくらべると厳しさが緩和されることは保証されている。もう一つは、この追加措置では、誤りから利益を得ようとすることを防ぐことが保証されていることだ(ただし、数ターンに渡って問題が発見されないという、ごく稀な例外を除く)。あらゆるペナルティで要求される重要な点だが、対戦相手に選択させることで、ジャッジが戦略上の影響範囲を考慮する必要が無くなり、贔屓している、という中傷からジャッジを守ることができる。
これまで違反には【ゲームの敗北】のみだったが、新しい追加措置を、少々の微調整とともに採用した。僕らは古い定義を広げて、”順序違いでスタックに積まれたオブジェクト”の場合に格下げする節を追加し、カードに記述された手順を戻せる様にもした。これは、引かれるべく待っているカードがあって、たとえ不正確にプレイされても混乱が大きくなく、懲罰的な修正を必要としない場合があるって考えを反映したものだ。
そして、そう、プレイヤーは手札を公開する前に投了することができる(依然として【警告】は与えられるけどね)。
違反の定義へのフォーカス
今回の変更点の全てに目を通すと、大きなものはこの一つのバケツに落とし込むことができる。良い知らせは、それらは理念の変更を表したものではないということで、簡素化されたものだということだ。これまでもIPGへの導入はあちこちにあって、それらは、ちょっとした理念だったり、なんらかの励みだったり、なにか技術の詳細だったり、なんらかの物語だったり、全部の組み合わせだったりした。ブログの記事(僕は何も知らないけど)が濫立しててもそれで良くって、でも、もしかしたら、違反の定義とその解決策にまつわる文書は、違反を定義している冒頭部分とそれらの解決策を導く道具に焦点を当てるべきなのではないだろうか。これからは、導入部分でそれをやる。どういう時に仲裁に入るべきか、どういう時に逸脱するべきか、そして、IPGで用いられる様々な用語(懲罰の種類、巻き戻し、シャッフル)についての解説、に焦点を当てている。
傍注として。正式な【注意】はもはや存在しない。僕らは長いこと【注意】を使っていなかったし、ジャッジの道具箱に、この秘儀はもはや不要だ。ジャッジには、誰かが、これ以上ペナルティ無しに何かするために止めて欲しい時、時々それがOKだと理解できている必要があるだけだ。
僕らはまた、違反がいつ格上げされて、格下げされるのか明確にしたかった。かつて、これらは"理念"の項か、"追加措置"のどこかの文で言及されていた。これからは、格上げと格下げの可能性がある場合は、その節の中の"追加措置"の項目の中で明確に強調されている。ジャッジは、IPGを開いて該当する違反を発見し、その元になる懲罰を変更することができる状態なのかどうかはっきりと理解することが可能になった。
雑多な説明
・多人数戦のフォーマットに関係した、最後まで残ってた部分は削除された。多人数戦のイベントをREL競技では運営するな。大丈夫だよな?
・IPGってのは、RELが競技とプロのイベントで用いられることを想定して設計されている。ここに全てのRELの定義が含まれているっていうのは感覚にそぐわないから、こいつらをMTRに移した。
・MTRについて述べると、強調すべき変更が一つある。マナ・プールに何が残っているかは共有情報になった。
・〔誘発忘れ〕の一部が明確になった。ほとんどは、視覚的効果を伴わない誘発に予期されることと、対戦相手のターンの間に起きた誘発まわりのことだ。
・〔ゲーム開始時の引き間違い〕で手札の枚数を減らすことはマリガンに含まれる。
・〔遅刻〕の定義を明確にしたけど、全く変わりはないだろう。
・プレイヤーがカードを無くしたことによってデッキリストの一部が基本地形に変更された場合、その変更をあとで懲罰無しで戻すことができる。そのプレイヤーは、変更されたデッキを元に戻したことをジャッジに知らせる必要がある。
ありがとう!
改善のために問題、質問、示唆を報せてくれた各位に謝意を。IPGは君らのたゆまぬ努力によって進化と改良を続けていくものだ。僕は今回のバージョンの、この方向性が続くと良いなと思っている。この場で、Brian SchenckとMatthew Johnsonらの多大な努力と示唆があったことを、特に声を大にして伝えたい。彼らは、今君が目にしている変更の大部分に多大な影響を与えた。
原文はこちら
http://blogs.magicjudges.org/telliott/2015/07/13/magic-origins-policy-changes/
(訳者注:JJMLで変更点の要約を読んだジャッジ諸氏も、後述の"雑多な説明"の箇条書きの箇所に目を通すことをおすすめします。)
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IPG
http://wpn.wizards.com/sites/wpn/files/attachements/mtg_ipg_17jul15_en.pdf
MTR
http://wpn.wizards.com/sites/wpn/files/attachements/mtg_mtr_17jul15_en.pdf
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今回も沢山のIPGの変更がある。でも見た目ほど怖くはないよ。あれ程のべガス/ユトレヒト/千葉を乗り越えてきた僕らなら、朝飯前なんじゃないかな。
大きなポリシーの変更が一つと、違反の定義に焦点を当てたガイド全体の再構成と、いつもの微調整や明確化がある。慌てるな!
〔過剰なカードを引いた〕の再考
これが大きい奴だ。慣習的に、〔過剰なカードを引いた〕は泣き所だった。秘匿情報にも関連するし、気付くのが難しく、回避するのが難しく、事後に修正するのも難しかった。なので、違反処置指針にある間ずっと〔過剰なカードを引いた〕は、たとえゲームでの誤りによる影響が比較的小さい場合でも【ゲームの敗北】であった。長年の間、最悪の状況を緩和すべく様々な定義を試みてきたが、それらの努力は、決して適用されないもの、難解なもの、厳しすぎる結果をもたらすもの、のいずれかに帰結していた。そこで、僕らは今までと違うことをやってみることにした。〔過剰なカードを引いた〕を警告にするのだ。手札を公開し、対戦相手に余剰なカードを選んでもらい、それをライブラリーに戻してシャッフルするんだ。
理念が変更されてるのをみた人もいるだろうけど、これは僕らにはこれまで”ゲーム上の修正”を避ける慣習があったからだ。今回の場合だけじゃない。僕らが避けたいのは、ペナルティがゲーム上に予想できないほどの影響を及ぼすことだ。例えば、”GRVのペナルティは2点のライフとする"というルールを追加することは可能だ。いくつかの状況では、これは意味がないだろう、一方で、【ゲームの敗北】と同じになることもある。こういった類いの不一致は避けたい。
でも、〔過剰なカードを引いた〕に関していうと、二つの要素がこれらの不安材料を和らげてくれる。一つ目は、これまで、慣例として【ゲームの敗北】になっていたということだ。新しい追加措置がプレイヤーに対してこれ以上厳しくなる心配はなく、現在の手法にくらべると厳しさが緩和されることは保証されている。もう一つは、この追加措置では、誤りから利益を得ようとすることを防ぐことが保証されていることだ(ただし、数ターンに渡って問題が発見されないという、ごく稀な例外を除く)。あらゆるペナルティで要求される重要な点だが、対戦相手に選択させることで、ジャッジが戦略上の影響範囲を考慮する必要が無くなり、贔屓している、という中傷からジャッジを守ることができる。
これまで違反には【ゲームの敗北】のみだったが、新しい追加措置を、少々の微調整とともに採用した。僕らは古い定義を広げて、”順序違いでスタックに積まれたオブジェクト”の場合に格下げする節を追加し、カードに記述された手順を戻せる様にもした。これは、引かれるべく待っているカードがあって、たとえ不正確にプレイされても混乱が大きくなく、懲罰的な修正を必要としない場合があるって考えを反映したものだ。
そして、そう、プレイヤーは手札を公開する前に投了することができる(依然として【警告】は与えられるけどね)。
違反の定義へのフォーカス
今回の変更点の全てに目を通すと、大きなものはこの一つのバケツに落とし込むことができる。良い知らせは、それらは理念の変更を表したものではないということで、簡素化されたものだということだ。これまでもIPGへの導入はあちこちにあって、それらは、ちょっとした理念だったり、なんらかの励みだったり、なにか技術の詳細だったり、なんらかの物語だったり、全部の組み合わせだったりした。ブログの記事(僕は何も知らないけど)が濫立しててもそれで良くって、でも、もしかしたら、違反の定義とその解決策にまつわる文書は、違反を定義している冒頭部分とそれらの解決策を導く道具に焦点を当てるべきなのではないだろうか。これからは、導入部分でそれをやる。どういう時に仲裁に入るべきか、どういう時に逸脱するべきか、そして、IPGで用いられる様々な用語(懲罰の種類、巻き戻し、シャッフル)についての解説、に焦点を当てている。
傍注として。正式な【注意】はもはや存在しない。僕らは長いこと【注意】を使っていなかったし、ジャッジの道具箱に、この秘儀はもはや不要だ。ジャッジには、誰かが、これ以上ペナルティ無しに何かするために止めて欲しい時、時々それがOKだと理解できている必要があるだけだ。
僕らはまた、違反がいつ格上げされて、格下げされるのか明確にしたかった。かつて、これらは"理念"の項か、"追加措置"のどこかの文で言及されていた。これからは、格上げと格下げの可能性がある場合は、その節の中の"追加措置"の項目の中で明確に強調されている。ジャッジは、IPGを開いて該当する違反を発見し、その元になる懲罰を変更することができる状態なのかどうかはっきりと理解することが可能になった。
雑多な説明
・多人数戦のフォーマットに関係した、最後まで残ってた部分は削除された。多人数戦のイベントをREL競技では運営するな。大丈夫だよな?
・IPGってのは、RELが競技とプロのイベントで用いられることを想定して設計されている。ここに全てのRELの定義が含まれているっていうのは感覚にそぐわないから、こいつらをMTRに移した。
・MTRについて述べると、強調すべき変更が一つある。マナ・プールに何が残っているかは共有情報になった。
・〔誘発忘れ〕の一部が明確になった。ほとんどは、視覚的効果を伴わない誘発に予期されることと、対戦相手のターンの間に起きた誘発まわりのことだ。
・〔ゲーム開始時の引き間違い〕で手札の枚数を減らすことはマリガンに含まれる。
・〔遅刻〕の定義を明確にしたけど、全く変わりはないだろう。
・プレイヤーがカードを無くしたことによってデッキリストの一部が基本地形に変更された場合、その変更をあとで懲罰無しで戻すことができる。そのプレイヤーは、変更されたデッキを元に戻したことをジャッジに知らせる必要がある。
ありがとう!
改善のために問題、質問、示唆を報せてくれた各位に謝意を。IPGは君らのたゆまぬ努力によって進化と改良を続けていくものだ。僕は今回のバージョンの、この方向性が続くと良いなと思っている。この場で、Brian SchenckとMatthew Johnsonらの多大な努力と示唆があったことを、特に声を大にして伝えたい。彼らは、今君が目にしている変更の大部分に多大な影響を与えた。
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