トーナメント手順 - デッキリスト・カウントの優先度の低減
2013年12月18日 ルーリング※ジャッジ向け文書の和訳です。
※プレイヤーの方は知らなくても良いことが書いてあります。
原文はこちら:
http://blogs.magicjudges.org/whatsupdocs/2013/08/13/lowering-priority-on-decklists-counting/
※プレイヤーの方は知らなくても良いことが書いてあります。
原文はこちら:
http://blogs.magicjudges.org/whatsupdocs/2013/08/13/lowering-priority-on-decklists-counting/
トーナメント手順 - デッキリスト・カウントの優先度の低減
By Kevin Desprez/tr. Akira SENO
君たちの内何人かはもう知ってると思うけど、僕らはデッキリスト・カウントとデッキチェックを取り扱うために、2013のグランプリで試験的に他のやり方を模索して来た。
その氷山の一角として現れたのは、もはやR1の終了時までにデッキリストを数えたり整理したりするのをやめて、代わりにフロアのカバーとデッキチェックをする、というものだ。
"デッキチェックチーム2.0"に関わったジャッジからフィードバックを集めて数ヶ月経過し、これらの変更を公式のものとして、僕らがなぜこれを作ったのかという疑問に答える時が来た。
このブログはこれらを深く掘り下げるのにちょうど良い場所だと思う。
イベントにおける優先度
僕らの最優先事項:プレイヤー
僕らはプレイヤーが楽しむ為にイベントを運営している。
プレイヤー達は僕らに以下の様なことを期待しているだろう(順不同):
・彼らのルールの疑問に答える
・トーナメント手順に従って案内をする
・複雑な状況に陥ったとき、公平なルーリングを行う
・チートから守る
これらを達成する為には、僕らはプレイヤーと話すことができる必要がある、つまり、フロアーに居る必要が有って、プレイヤーの質問に答えたり、遅いプレイを監視したりできる様になっていなくちゃならない。
僕が二年くらい前にプレイヤーとして経験した凄く残念なことの話をしよう。
PTQの1R目で一人のジャッジに、テーブルについて遅いプレイの監視をしてくれないかと頼んだら、彼はこう答えたんだ。"残念ながらできません。私は今フロアに一人しか居なくて、他のジャッジはデッキリストを数えるのに忙しいのです。"
彼は全く正直に答えた。まったく、どうして他の皆をさしおいて、僕をえこひいきする必要が彼にあるだろう。
それでも、その答えは僕には苦く感じられて、そしてそれはそのマッチが引き分けに終わった時にさらに酷くなった。
他の優先事項:ジャッジ
11:30に1R目を始めるリミテッドのイベントの日に7:00に君が起きたってことは、13:00までほんとの意味で休憩が取れるってことはあり得ないことだという意味だ。
まず、僕は君にちゃんとした朝食を食べていて欲しい。
でも、たとえ君がそうしたとしても、休憩無しの6時間ってのは本当に長いもので、これはジャッジ達が猛烈にデッキリスト・カウントをしていてフロアのカバーが稀になっている場合にはより酷いものになる。
座ってるにもかかわらず、これらのジャッジ達は休憩からはほど遠い状態にある。
そして、フロアをカバーする為に可能な限り効率よくテーブルからテーブルへと走り回っているジャッジはただ疲労困憊へと突き進む。
これって良い状況かな?
全然ダメだよね。
注:これはイベントにのみおける優先事項というわけではないが、これらは今回の変更に最も関係性が高いと思われる。
デッキリスト・カウントは何を目的とするのか。
チートに対する防護策
僕らはプレイヤーにデッキリストを提出してもらって、その日の間にデッキを変更しない様に要求している。
実際のところ、トーナメントにおける特定のメタゲームを読んだり、プールから最適のシールド・デッキを組む技術がマジックのトーナメントでは試されているってわけだ。
これらの理由から、プレイヤーが正しいデッキリストを時間内に提出することが重要で、さらにMIPGにおいてはその追加措置として、デッキリストが不正である場合は、我々はそのプレイヤーが実際にプレイしているものを反映させると記述されている。(en: http://blogs.magicjudges.org/whatsupdocs/2012/06/12/tournament-error-deck-decklist-problem/)
これが僕らがデッキリスト・カウントをそこまで重要視する理由だ。
早いうちに正しいデッキリストを提出していないプレイヤー(つまり、それによって不当なアドバンテージを得る可能性がある者)を探し出し、それによってトーナメントの完全性が保たれているとみなすことができる。
さて、僕らは別の考え方があることに気づく。
この違反によるペナルティはゲームの敗北だろう。
プレイヤーにとって、2Rの追加の時間の後の敗北は、メインやサイドの最後のカードを決定する為のものとしては果たして釣り合ったものだろうか。
これは議論の余地があるけれど、僕らはその目的の為にプレイヤーにとって見返りの大きい投資となることは稀であると信じている。
実際のところ、プレイヤーが本当にそうしたいならば、1日目の間にジャッジによって簡単に見つけられる59枚のリストを提出するだろうか。
リーガルなデッキリストを提出して、朝の調整結果を反映し忘れた振りをした方がずっと良い筈である(だから、この状況だと、君らは、彼のデッキで何をみたのかチェックする為にそのプレイヤーの以前の対戦相手と話をしたくなるだろう)。
もしくは、チートの観点から
もう一つの、早くデッキリスト・カウントを行うことによる予期せぬ副作用は、プレイヤー達が、R1は伝統的にデッキリスト・カウントに費やされ、R2でペナルティを出す為、デッキチェックを早いラウンドの内に行うことは難しいのだ、ということに気づいてしまったことだ。
これはつまり、プレイヤーとしては、君はめちゃくちゃ凄い良いシールド・デッキを組む為の初期パックを開封したり、3枚違うサイドボードのカードをR1とR2の間にプレイできるということだ。
誰が気づくってんだい。
その為には、対戦相手がジャッジを呼んで君のデッキリストをチェックして欲しいって頼むという非常に不運な出来事がなくちゃいけない。
さらに、例えそうだとしても、デッキリストはカウントが終わったらソートされなくちゃならないから、そのジャッジは殆どの場合、デッキリストがソートされ終わってないためご希望に添えません、と言うだろう。
こういう場合だと、チートの防止という目的においては失敗している様に聴こえる。違うかい?
これら二つの観点から、なぜそんなに急いでデッキリスト・カウントをしなければならないのか、という話になる。
なぜ、僕らは自身をそんな大きなプレッシャーの下において、プレイヤーの公正さに、僕らに、イベント全体に、そして間接的にTOに悪影響を与えなければならないというのだい。
新しい手順
そういうわけで、僕らはシステムを変えた。これは2013年10月のグランプリから適用される。
まず、変更を判りやすくする為に小さいビフォー/アフターチャートを通してみてみよう:
2013年9月まで
1. 回収(構築中)
2. カウント(R1)
3. ペナルティを出す(R2)
4. ソートする(R2)
5. プレイヤーのリストと比較し、紛失したデッキリストを見つける(R2)
6. デッキチェックする(R3)
この仕組みだと、なぜプレイヤーが初期パックや追加の三枚のサイドボードを使って最初の2ラウンドの間にプレイできると考えていると僕が述べたのかわかるかい。
一つの理由は、この仕組みはある時点で全てのジャッジが同じ一つのことを集中してやっているという欠陥を持っているということだ。
だから、このシステムではそれぞれのステップは他のものが完了した後で行われなければならない。そうでなければ、どこかで衝突する。
2013年10月から
1. デッキリスト回収(構築中)
2. 準備ソート(構築中)
3. ソートを終わらせる、紛失デッキリストの有無を確認(R1)
4. デッキチェック(R1から)
5. デッキリスト・カウント(R2から1日中)
6. ペナルティを与える(1日中)
ソーティング
R1中のソートがキモだ。
これにより、直ちに僕らが全てのデッキリストを持っているのかどうかを判別できる。
デッキリストを提出しないことは、実際のところ59枚のデッキリストを提出することよりもっと悪用ができる。
加えて、デッキリストがソートされない限り、追加されたカードを確認する為のデッキチェックを効率的に行うことはかなり不可能に近い。
こういった理由で、ソーティングは優先度の一番目にある。
デッキチェック
全体の準備ソートが終わった(例えば、デッキリストを50枚ずつの山に分ける)ら、プレイヤーをアルファベット順に着席させておいてテーブルナンバーをデッキリストに記入させておけばデッキリストを探すのはそんなに大変なことじゃない。
だから、いくつかのデッキをR1の早いうちから効率よくチェックし始めることができるんだ!
プレイヤーのリストとの比較
全てのソートが終わったのなら、これは簡単だ。
山の中のデッキリストの枚数が合っているかどうかチェックする。
適切な枚数があるなら、何も問題は無いので、次の山に進むことができる。
無いならば、リストは紛失されているので、どれかを特定すれば良い。
これらのアクションの詳しい動き方はここに書いてある。
http://blogs.magicjudges.org/whatsupdocs/2013/09/20/sorting-decklists-efficiently/
目標:労力の再配分
これまで、僕らは全てのことをイベントの最初の数時間でやろうとしてきており、ある点において、イベントの管理はR2で終わっているといえ、ある点においてはプレイヤーのケアはR2から始める…昼食の前にペナルティを出したり…ともいえた。
この新しい手順では、本当にR1の間に1チームより多くのジャッジは必要としない。特に、ソーティングの様な活動になると、同じこと終わらせようとして人手が多過ぎることは逆効果になり得る。
このマンパワーの低需要性は、他のチームはフロアーにでたり、もしくは昼食休憩をとったり、その両方をしたりすることができることを意味する。(リミテッドの場合、R1はしばしば11:15-11:30くらいに始まるということを思い出して欲しい)
1日中数える
同じ理由で、R2のデッキリスト・カウントに全てのジャッジを割り振るのはすごく無駄だと思う。
これは、何ももたらさないどころか、問題を持ってくる。
優先順位の最上位にはプレイヤーへのサービスであったことを思い返して欲しい。そして、これを遂行する為のもっとも良い方法はフロアを効率的にカバーすることだ。
もはや全てのデッキリストを数えあげることは必須ではない。
究極的には、目標は今可能な限りのデッキリストを数えることだ。
全てのデッキリストを数え上げることに注力することは、プレイヤーにも、ジャッジにも、そのの両者にも悪い影響を与えることが多い。特に、イベントの人員が不足していたり、異常な事態が起きていたりする時に、だ。
逆に、より多くのデッキをチェックすることはイベントに良い影響を与えることが多い。プレイヤー達は僕らがリミテッドにおいてカードの持ち込みや、構築においてサイドボードやサイド前にカードが追加されてないかをケアしていると気づくだろう。
フロアーのカバーが効率よく、またラウンド終了の手続きが最適であることを確かなものとするためには、デッキリスト・カウントは、これからはデッキチェックと同様に、ミッドラウンド・デッキチェックの終了からラウンドに10分以上残っている間に行われるべきだ。
また、構築のGPでは、まだ数えられていない2日目のプレイヤーのデッキリストは、2日目の最初のラウンドの間に数えられるべきである。
ペナルティの発行とドロップしたプレイヤーの扱い
このデッキリスト・カウントの変更は他の、例えばデッキリストのペナルティを出すなどのエリア、にも影響を与える。
これからは、これらのペナルティは、誤りが見つけられたラウンドの次のラウンドの最初に与えられるべきだ、ということになった。
もちろん、デッキリスト・カウントをラウンド7に終えるということは、幾人かのプレイヤーが既にドロップしているということを意味している。
彼らがペナルティを受けないということはフェアじゃないと思うかい。
そうじゃないんだ。
実際に、そのプレイヤーがすでにドロップしていた場合、おそらく彼はその誤りによる大きなアドバンテージを得ていないということを意味する。
そして、そのペナルティ自体はまだ追跡の目的でソフトに入力することができる、というわけだ。
一つのGPにおけるステップ、競技のための大きな飛躍
この時点では、これらの変更はグランプリを想定して設計(試行)されている。
そのため、君らは"チーム"や"準備ソート"などといった言葉を目にしたわけだ。
ロジスティクスの細かい部分を省くと、君はこの変更の背景となる哲学は、君のPTQにも適用できると判る筈だ。僕はその場所はデッキチェックを実行して君の地元のショップのプレイヤー顧客に届けることがより重要な場所だと信じている。
プレイヤーが競技プレイに初参加しようとPTQに来る機会は、かつて、君たちがPTQにいた時に比べると、GPよりずっと高いという段階にある。
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